愛しき香り

まだ独り身で働いていた頃、

どんなに遅く帰っても晩酌を欠かさず、気絶するように眠っては、起きて勤めに急ぐ日々。

当時は凍らせたパンを冷たいまま食べることが好きで、コンビニおにぎりとゆで卵、インスタントのお味噌汁がが昼食でした。

妻となり母となり、

炊きたてのご飯や、8枚切りの食パンが焼ける香り、ゆで卵の踊る音やお味噌汁の温まる湯気、どれもが泣けるほど愛おしい。

時にはどうしようもなく苛立ち、虚無感に襲われたりもするけれど、

あの頃の母も纏っていた香りたちが、私を我にかえらせてくれる。

‪さかりすぎて かうのこのみも もどりけり‬

昔のうた

今夜は土曜の夜なので、子供の相手をしながら晩酌です。

ほのかに昔に思い馳せているうちに、昔のうたを想い出しました。

当時、まだ27、8歳の頃の私でした。

実際に恋愛している頃というよりは、そう発展したいと思うひとがいた時に滲み出たものだと思います。

それでも我ながらとても気に入った歌で、三日月を見るたびに思い出したり、忘れかけていたものを想い出したりしています。

たとえほんの一瞬であっても、その景色やその思いを短歌や和歌にのせることで、その頃の自分自身を色濃く残せる。

それを、私の人生にくっきりと示したのが、この作品です。

そして、今改めて詠み唄うことに導いている作品でもあります。

離れすぎず近づき過ぎず寄り添うは

三日目の月と宵の明星

細い月

昨日の帰宅路、橋の上でふと目に入ってきたのは、鋭いほどに細い月でした。

穏やかに波打つ水面には、都会のネオンやビルの灯りが映るばかりで、空だけを居場所としている月。

でも、きちんと明るい光でした。

毎日フルタイムで働くパートタイマーの私。

仕事も家事も育児も、精一杯頑張っているつもりですが、人生の中で残しているものは、あの月よりも儚く取るに足らないものかもしれません。

走り去っていった歳月と、このままそうなっていくかもしれないこれからに、思いを馳せずにはいられませんでした。

でも、この生活の中でも、子供たちの根底にキラリと光る何かを、少しでも残せたらいいなぁ、と思います。

水面にも映らぬほどの細月よ

いよいよ はじめます。

いよいよ、ようやく、ついに、
この言葉たちが頭に浮かんだけれど、やはり いよいよ な気分なので、
いよいよ からはじめてみようと思います。

 

いよいよはじめようと思ったのは、この目まぐるしくも愛おしい毎日が、際立った想い出を残せないままに通り過ぎてしまうことがあまりにも儚いと思ったことと、その毎日の中の自分感情や、心動かされた情景、出来事を言葉にしたためることが、自分が思っていた以上に心地好いことに気付いたからです。

もちろん、自分や子供の成長日記的な想い出ノートとしても後々残せたら、それはそれで価値があるとも思っています。

 

仕事で少し文章を書くことはありますが、もちろん素人ですし、短歌や俳句も自信があって詠む訳ではないのですが、恥を忍んで詠ませて頂こうと思います。
その意味でも、自分の成長日記的なのです。

 

と、そろそろ日を跨いでしまいそうなので、今夜はこの辺りでお暇します。

 

 

 

子が唱える『おやすみ』が一日のボーナス